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認知症の方が相続人の中にいる場合の相続税申告

亡くなった方は「被相続人」、残されたご家族は「法定相続人」となり、相続人全員の共有の財産となった被相続人の遺産の分割方法について、相続人全員で話し合い(遺産分割協議)、合意をもって決定します。ただし、被相続人が遺言書を遺していた場合は遺言書の内容が優先されるため、相続が開始されましたらまずは遺言書の有無を確認しましょう。
民法では、被相続人の配偶者は常に相続人とされます。配偶者以外の法定相続人は、第1順位から第3順位まで決められており、相続権は上位順位者の死亡または相続放棄等などにより順に下位に移動することになります。

認知症と成年後見制度

遺産分割協議は相続人全員で話し合う必要があります。このため、もしも相続人の中に認知症等により判断能力が不十分とされる方がいる場合、法律行為である遺産分割をすることは出来ないため、遺産分割が滞ってしまう可能性があります。だからといって、認知症の方を話し合いから外すことも許されません。
このような相続手続きにおいては、成年後見制度を活用して家庭裁判所から選任された成年後見人が認知症の方に代わって遺産分割協議に参加し遺産の分け方について話し合うことになります。
ただし、この成年後見制度の利用には費用が掛かるうえ、一度利用すると、認知症の方が亡くなるまでその契約が続くことになります。成年後見人に対して月数万円の費用を払い続ける必要があるため、遺産分割協議だけでなくその先も本当に成年後見制度を活用することが良いのかどうかじっくりと検討して判断しなければなりません。

成年後見人の利用以外の方法としては、遺言書を作成して遺産の分割方法について予め指示しておくか、家族信託の活用をお勧めします。いずれも生前対策となるため、被相続人となる方がお元気なうちにしっかりと対策を取っておく必要があります。

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