相続税申告は、申告者自らが納税額を計算し、その計算に基づいて納付する「申告納税制度」を採用していますが、税務署はその申告額をそのまま受け入れてくれるわけではありません。相続税申告がなされると、税務署はその申告に誤りや不正が無いかを調査します。
この「税務調査」について、詳しく解説いたします。
相続税の申告漏れに注意
相続税の税務調査の結果、相続税の申告漏れが判明することがあります。
申告していない財産や適正な評価額ではないことを認識しながらの申告漏れはもちろんよくありませんが、相続税の基礎控除額ギリギリの財産を相続する場合や、財産調査を適切に行っていなかった場合など、無意識に申告漏れが発生してしまっている場合があります。
無意識の申告漏れであっても、ペナルティとしての追加の税金の支払いは避けられません。
相続財産調査をしっかりと行うことがもちろんのこと、取得した財産が基礎控除額ギリギリの場合でも、万が一のリスクに備えて申告だけはしておくことがおすすめです。
また、税務調査の対象となりやすい財産として、「名義預金」が挙げられます。
さいたま・浦和相続税相談プラザにご相談にいらっしゃるお客様のなかには、「被相続人名義でなければ、被相続人の財産とは判断されない」とお考えの方もいらっしゃいます。しかし、税務署は職権により預貯金の動きを調査することができます。
特に、被相続人が亡くなる5年から10年ほど前の間に、多額の金銭を別人名義の口座に移動させているなどした場合、その移転について贈与税の申告がなされていないければ、税務調査のリスクが高まってしまいます。
なお、相続発生から半年程度が経過したタイミングで、税務署から「相続税のお尋ね」という書類が届く場合があります。この書類は、相続税の納税が必要な可能性が高い人を中心に送付されるものではありますが、送付された方が全員相続税申告を必ず行わなければならないわけではありません。きちんと財産調査等を行ったうえで、正しく納税の要否を判断したのであれば、不安に感じる必要はございません。
相続税の税務調査率と時効
相続税申告についてなされる税務調査の割合は、そこまで高いものではありません。しかし、税務調査がなされると、8割以上の確立で申告漏れが判明しているのが実情でもあります。
相続税の申告漏れの時効は原則として相続税の申告期限から5年経過後とされていますが、仮に申告が必要なことを認識しながら申告を怠っていた場合、国税徴収権の時効期限は7年間に延長されます。
この7年の間を重いペナルティを課されるリスクを抱えながら過ごすのは得策ではありません。自分で進めるのが大変であれば、専門家に依頼するなどして、確実な相続税申告を行うことをおすすめいたします。
相続税申告の適正さを担保する「書面添付制度」の活用
「税務調査を回避するために適正な申告を行う」のはもちろんのこと、リスクを回避するプラスアルファの選択肢として、「書面添付制度」が存在します。
書面添付制度は税理士のみが利用する制度ですが、この制度の下で税理士が作成した追加書類を添付して申告を行うことで、計算の過程を明確にし、申告の適正さを担保することができます。
また、万が一書面添付制度を利用した申告内容について税務調査が行われる場合でも、まずは税理士への意見聴取が行われ、税務署の疑問や質問が解消した場合は、相続人に対する税務調査は省略されるというメリットも存在します。
相続税の申告ギリギリの財産を取得した場合など、相続税申告の要否に不安がある方は、ぜひさいたま・浦和相続税相談プラザの専門家にご相談ください。相続税のプロフェッショナルが、さいたま・浦和の皆様の相続税申告をしっかりとサポートいたします。